AIX LVM(論理ボリュームマネージャー)入門
1. ボリューム作成の流れ
ボリュームグループの作成
論理ボリュームの作成
ファイルシステムの作成
ファイルシステムのマウント
2.ボリュームグループの作成
ボリュームグループは、1つ以上の物理ボリューム(hdisk)をまとめた単位です。
ボリュームグループに所属している物理ボリュームは、それぞれボリュームグループごとに指定されている
物理区画(PP)という単位で区切られています。ボリュームグループを定義する際には、この物理区画の
サイズ(PPサイズ)を指定します。
例えば、100Mバイトの物理ボリュームが、PPサイズ4Mバイトのボリュームグループに所属している場合には
25のPPが存在します。。(物理ボリュームのPP数が25となります。)
ただし、物理ボリューム当たりのPP数は最大1016となっています。そのため、4GB(4000MB)以上の
物理ボリュームで、PPサイズ4MBとした場合は、PPが1016個まで作成されないため、使用できる領域
は約4GBまでとなってします。したがって、大きなサイズの物理ボリュームを扱う場合には、PPサイズ
を大きく設定する必要があります。
■
図解:ボリュームグループ
■ 図解:物理区画(PP)
2.1 ボリュームグループ作成
以下のコマンドを実行し、ボリュームグループを作成します。
mkvg
–f -y 【ボリュームグループ名】 -s 【PPサイズ(メガバイト)】 【物理ボリューム名】
(例) # mkvg -f -y vg1 -s 32
hdisk1
PPサイズ32MBのボリュームグループ vg1 を作成して、hdisk1を所属させます。
複数の物理ボリュームでボリュームグループを作成る場合は、以下のよう実行します。
mkvg
–f -y 【ボリュームグループ名】 -s 【PPサイズ(メガバイト)】 【物理ボリューム名1】 【物理ボリューム名2】
(例) # mkvg -f -y vg1 -s 32
hdisk1 hdisk2
PPサイズ32MBのボリュームグループ vg1 を作成して、hdisk1とhdisk2を所属させます。
2.2 ボリュームグループに物理ボリュームを追加
以下のコマンドを実行し、既存のボリュームグループに物理ボリュームを追加します。
extendvg
【ボリュームグループ名】 【物理ボリューム名】
(例) # extendvg vg1 hdisk2
2.3 ボリュームグループ削除
(1)以下のコマンドを実行し、物理ボリュームをボリュームグループから取り除きます。
reducevg
-df 【ボリュームグループ名】 【物理ボリューム名】
(例) # reducevg -df vg1 hdisk1
物理ボリュームhdisk1から、ボリュームグループvg1を取り除きます。
※ ボリュームグループから取り除かれた物理ボリューム上に論理ボリュームが作成されていた場合、
論理ボリュームも削除されます。
(2)ボリュームグループから全ての物理ボリュームが取り除かれると、そのボリュームグループは削除されます。
2.4 ボリュームグループのエクスポート
以下のコマンドを実行し、ボリュームグループをエクスポートします。
exportvg
【ボリュームグループ名】
(例) # exportvg vg1
※
ボリュームグループをエクスポートした後に、mkvgコマンドに –f
オプションをつけることで、
新しいボリュームグループを強制的に上書きして作成することができます。
※
エクスポートするボリュームグループ上に論理ボリュームや物理ボリュームがある場合は、
それらも一緒にエクスポートされます。
2.5 ボリュームグループのインポート
以下のコマンドを実行し、エクスポートされているボリュームグループをインポートします。
importvg
-y 【ボリュームグループ名】 【物理ボリューム名】
(例) # importvg –y vg1 hdisk1
3. 論理ボリュームの作成
論理ボリューム(LV)は、物理ボリュームの物理区画(PP)をまとめた単位です。
ボリュームグループに属している物理ボリュームのPP数を指定することで、物理ボリューム上に
論理ボリュームを作成します。
「4. ファイルシステムの作成」で、jfs2(拡張ジャーナルファイルシステム)を作成する場合には、
論理ボリューム作成時にファイルシステムタイプを指定する必要があります。
ファイルシステムタイプを指定しない場合は、デフォルトで
jfs(ジャーナルファイルシステム)用の
論理ボリュームが作成されます。
※
AIX4.3.3ではjfs2はサポートしていません。
■ 図解:論理ボリューム(LV)
■ jfs用の論理ボリュームを作成する場合
mklv -y 【論理ボリューム名】
【ボリュームグループ名】 【PP数】 【物理ボリューム名】
(例) # mklv -y
lv1 vg1 150 hdisk1
ボリュームグループvg1の物理ボリュームhdisk1上に、PP数150(PPサイズ32MBの場合は4.8GB)の
論理ボリュームを作成します。
■ jfs2用の論理ボリュームを作成する場合
mklv –y 【論理ボリューム名】
-t jfs2 【ボリュームグループ名】【PP数】【物理ボリューム名】
(例) # mklv -y
lv1 -t jfs2 vg2 150 hdisk2
ボリュームグループvg2の物理ボリュームhdisk2上に、PP数150(PPサイズ32MBの場合は4.8GB)の
論理ボリュームを作成します。
3.2 論理ボリューム削除
以下のコマンドを実行します。
rmlv -f 【論理ボリューム名】
(例) # rmfs -f
lv1-jfs
論理ボリュームlv1-jfsを削除します。
※ 「4. ファイルシステムの作成」で論理ボリューム上にファイルシステムを定義している場合には
rmlvコマンドではなくrmfsコマンドを使用して論理ボリュームを削除する必要があります。
4. ファイルシステムの作成
AIXにはjfs(ジャーナルファイルシステム)とjfs2(拡張ジャーナルファイルシステム)があります。
なお、RawDeviceへ直接アクセスする場合には、本項以降の作業は不要です。
4.1 ファイルシステムの作成
以下のコマンドを実行し、論理ボリューム上にファイルシステムを作成します。
crfs -v 【ファイルシステム名】 -d 【論理ボリューム名】 -m 【マウントポイント】
【ファイルシステム】は、論理ボリューム作成時にmklvコマンドで指定したものと同じ
ファイルシステムを指定する。
論理ボリューム作成時にファイルシステムを指定しなかった場合は、【ファイルシステム名】に
jfsを指定する。
【マウントポイント】は本章で作成したファイルシステムを5.1でマウントする場合に、
論理ボリューム上のファイルシステムと接続するディレクトリのことである。
本章の時点では、まだマウントポイントとなるディレクトリは作成されている必要はない。
(例) # crfs -v
jfs -d lv1-jfs -m /mnt/fs1
/mnt/fs1 にマウントされるjfsファイルシステムを論理ボリュームlv1-jfs上に
作成する。
注意
crfs コマンドを実行すると、loglv00 といったようなログ用の論理ボリュームが自動作成されます。
そのため、この論理ボリュームのサイズ分の容量( 1 PP )をファイルシステムを作るボリューム
グループ上に確保しておく必要があります。
4.2 ファイルシステム削除
以下のコマンドを実行し、論理ボリューム上にファイルシステムを削除します。
rmfs 【マウントポイント】
rmfsコマンドは、指定したマウントポイントに作成されるファイルシステムを削除するとともに、
ファイルシステムが作成されている論理ボリュームも削除されます。
※
ファイルシステムが定義されている論理ボリュームは、絶対にrmlvコマンドを使用して
削除してはいけません。
(例) # rmfs -f
/mnt/fs1
/mnt/fs1がマウントポイントに指定されているファイルシステムと
ファイルシステムが作成されている論理ボリュームlv1-jfsを削除します。
(4.1で作成したファイルシステムを削除する場合。)
5. ファイルシステムのマウント
5.1 ファイルシステムのマウント
(1) 以下のコマンドを実行し、マウントポイントとなるディレクトリを作成します。
(例) # mkdir /mnt
# mkdir /mnt/fs1
(2) 以下のコマンドを実行し、ファイルシステムをマウントします。
論理ボリューム上のファイルシステムをマウントポイントにマウントします。
(論理ボリュームとマウントポイントのディレクトリを接続します。)
mount /dev/【論理ボリューム名】 【マウントポイント】
【マウントポイント】は4.1でファイルシステムを作成する際にcrfsコマンドで
指定したもとと同じマウントポイントを指定します。
(例) # mount
/dev/lv1-jfs /mnt/fs1
/mnt/fs1 にlv1-jfs上のファイルシステムをマウント(接続)します。
5.2 ファイルシステムのアンマウント
以下のコマンドを実行し、マウントされているファイルシステムをアンマウント(切断)します。
umount 【マウントポイント】
(例) # umount
/mnt/fs1
/mnt/fs1 にマウントされているファイルシステムをアンマウント(切断)します。
● Read/Write実行環境作成までの流れ
LUN(物理ボリューム)の認識(cfgmgr
)
ボリュームグループ作成(mkvg) 論理ボリューム作成(mklv) ファイルシステム作成(crfs) ファイルシステムマウント(mount)
● ディスクの取り外しまでの流れ